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第4巻 , 第1号 , (pp.1-12)
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米国石油精製業におけるバレロ・エナジーの事例にみるポリシーイノベーションが導く事業展開
須藤 繁1、増田 優2
1帝京平成大学 現代ライフ学部 経営マネージメント学科 教授 2お茶の水女子大学大学院教授 ライフワールド・ウオッチセンター長
世界最大の石油消費国である米国石油市場においては、様々な石油企業が消長を繰り返して来た。その中で、1990 年代以後、急速に成長した石油会社の中にバレロ・エナジーがある。同社は、原油処理という通常の精製会社のやり方を変え、重質油処理という方針を立てて経営革新(ポリ
シー・イノベーション)を行った結果、原油よりも処理が難しい常圧残渣油を主として扱うこととなった。その中で競合他社よりも高度な精製技術を収得・蓄積し、競合他社に対する優位性を確立した。この点において、同社は、石油精製業の業績に大きな影響を与える原油の重質化や石油製品需要の軽質化などへの対処という点で、石油精製業の課題を正面から受け止める操業の先頭に立った。
次に、バレロは同技術を基礎にして常圧蒸留装置を有する精製会社として通常操業を展開すると
いうポリシーを立て、メジャー(大手石油会社)が石油需要の停滞・環境規制の強化を背景に精製資産の削減戦略に出た環境の中で、M&A 戦略を展開した。バレロはこうした経営革新(ポリシー・イノベーション)を進展する過程で、1980 年代には工程革新(プロセス・イノベーション)を基礎に技術を蓄積し、技術力を活用した操業上の優位により、結果として全米第一の精製会社の地位を得た。そして、さらに輸送用燃料供給者としてのバレロにとって、今日バイオ燃料事業は重要な事業機会の一つであり、バイオ燃料の積極的導入に動いている。
Keywords: ポリシー・イノベーション , 常圧残渣油処理 , 石油製品の重軽価格差 , 先制防御 ,
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