化学生物総合管理

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第7巻 , 第1号 , (pp.14-32)
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小売業界におけるコンビニエンスストアの進化  −主要事業者としての課題と責任−
須藤 繁1、増田 優2
1帝京平成大学 経営マネージメント学科 教授 2お茶の水女子大学大学院 教授 ライフワールド・ウオッチセンター長
日本社会の変化に伴い、小売業界も大きく変化した。その中で、1974年に1号店が開店したコンビニエンスストアは、小売店舗総数が大きく減少する中で、その数は大きく増加した。コンビニの伸長は、POSシステムに基づく単品管理による絶え間ない「売れ筋商品」と「死に筋商品」の選別、物流の効率化、顧客のニーズに応じた商品開発などの要因に求められる。
1974年の1号店の開設から暫くは、コンビニは社会的に認知されるための期間だった。この時期、コンビニは社会的には一般小売店の開店時間以外の時間帯に、「あいててよかった」といわれるサービスを提供する店舗とみなされ、一般小売店を補完する隙間責任を果たすに過ぎなかった。その後、店舗数の増加に伴い社会的認知も高まり、今日その利便性は広く社会に浸透して、「近くて便利」な存在になり、広範な供給責任を果たすようになった。コンビニチェーンの伸長の裏には、フランチャイズチェーン契約の不備に起因する問題もあった。その結果、2009年6月に公正取引委員会は、大手コンビニチェーンの本部に対して、弁当など日販品の見切り販売の禁止と廃棄費用の加盟店への付加は不公正な取引に当たるとして、排除措置命令を下した。
売上高が16兆円に拡大すると予想される2010年代後半にはコンビニは消費者にとって「なくては困る」存在になると予想される。そうした段階では、コンビニ業界は「供給責任を果たせばこと足りる」段階から、さらに一歩進み、「存在責任を負う」存在になる。コンビニ業界が今日、社会インフラの一環を担い、存在責任を背負う存在になりつつある以上、正すべきは正す経営理念の透明性の確保が期待される。
Keywords: コンビニエンスストア , POSシステム , 単品管理 , 物流の効率化 , フランチャイズチェーン契約 , 隙間責任 , 供給責任 , 存在責任 ,
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